はじめに
2021年のワクチン配分戦略に関する2つの分析
1.「1回目と2回目の最適な接種間隔」
▶2021年4月に厚労省アドバイザリーボードの依頼で行った事前分析(非公表)を精緻化した分析
2.「高齢者と若者の最適な接種率の比」
▶分析1で使われたモデルを使用した事後分析
目次
▶1. 1回目と2回目の最適な接種間隔
2. 高齢者と若者の最適な接種率の比
背景
・新型コロナワクチン1回目と2回目の接種間隔
▶日本:ファイザー 3週間,モデルナ 4週間,アストラゼネカ 4~12週間
▶イギリスでは12週(まず多くの人が1回目接種をすることを優先)
・最適な接種間隔は?(累積死亡者数の最小化の意味で)
まとめ
・新型コロナワクチン1回目と2回目の(累積死亡者数の最小化の意味での) 最適な接種間隔を求めた.
・ファイザーとアストラゼネカの比較では,ファイザーの方が2回目の意義は大きいが,いずれも接種間隔が長い方が良いという示唆が得られた.
・仮想的なワクチンの比較により,2回目の意義が大きいときは短い接種間隔,小さいときは長い接種間隔が最適であるという示唆が得られた.
目次
1. 1回目と2回目の最適な接種間隔
▶2. 高齢者と若者の最適な接種率の比
背景
・高齢者と若者の間での最適なワクチンの配分比を考える
▶高齢者は死亡率が高い
▶若者は行動範囲が広く感染を拡大させやすい
・各グループの接触頻度に応じた最適な接種率の比を求める
シミュレーション
・各 𝛼 に対する最適な 𝑢(紫)とそのときの全体の累積死亡者数(黄)
▶𝛼<47 ならば高齢者優先,𝛼>47 ならば若者優先が最適.
▶𝛼 が小さいときの高齢者優先が最も死亡者数は少ない.
シミュレーション
※ 𝑝 の値が大きい ⇒ 高齢者-若者間の接触頻度が高い
シミュレーション
※ 𝑝 の値が大きい ⇒ 高齢者-若者間の接触頻度が高い
シミュレーション
・各 𝑝 に対する最適な 𝑢(紫)とそのときの全体の累積死亡者数(黄)
▶𝑝 が大きいと配分比 𝑢 の累積死亡者数への影響は小さくなる.
▶𝑝 が大きいときに累積死亡者数は少なくなる.
まとめ
・高齢者と若者の間の接触パターンに応じて,累積死亡者数を最小化する意味での最適なワクチン接種率の比を求めた.
・若者同士の接触頻度が低いときは高齢者優先,高いときは若者優先が最適であるという示唆が得られた.
・高齢者-若者間の接触頻度が高くなると,接種率の比は累積死亡者数にあまり影響を与えなくなることが示された.