2021.01.20

新型コロナウイルス感染症における 重症化予測マーカーの探索に関する臨床研究

研究開発担当

千葉大学

対応するリサーチクエッション

政策検討に資する多様な見方と科学的なエビデンスの共有


本臨床研究の背景

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)】

高齢者・基礎疾患のある方は重症化率が高く、20歳代〜40歳代の健康な方でも急激に重症化することがある

急速に全身状態が悪化するため、重症化が予測される症例への医療介入(治療)が必須

【問題点】

現時点では重症化を予測できるバイオマーカー(検査項目)はない

COVID-19患者における血管関連疾患の合併

(1)血栓症;脳卒中、肺梗塞など
N Engl J Med. Jun 12 (2020)
Thromb Res. Jun (2020)

(2)  血管炎;小児における川崎病様患者の増加
Lancet May 13 (2020)

COVID-19入院患者に対する重症者、死亡者の割合

厚生労働省HPより抜粋・改変
令和2年8月12日18時時点

重症化マーカーの候補分子

Myl9(ミル9、ミオシン軽鎖9);

血小板由来のタンパク質で、血栓に起因する血管炎や気道炎症など多くの重症炎症疾患に関与(千葉大学で明らかにされた)

マウス炎症肺(喘息)

Myl9は炎症組織の血管内腔壁に見られ、血栓様の構造物(Myl9 nets)を形成

Myl9, TER119(赤血球),
CD41(血小板)

Myl9との関連が示唆される疾患

  • 血管炎(川崎病)
  • 関節リウマチ
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/クローン病)
  • 肺高血圧症
  • 気管支喘息
  • 好酸球副鼻腔炎

など

本臨床研究における作業仮説

これまでの報告

  • 血管内皮へのSARS-CoV-2ウイルスの感染
    The Lancet May 2-8 (2020)
  • SARS-CoV-2ウイルスによる血小板の過剰な活性化
    Blood Jun 23 (2020)

“重症化する前に血液中でMyl9の上昇が検出できるのではないか?”

本臨床研究の流れ

今後の展望

期待される成果:

  • ① Myl9が新型コロナウイルス感染症の新規重症化マーカーとして使えるか判明(AMED研究費)
  • ② single cell RNA-Seqを用いた網羅的遺伝子発現解析による重症化の機序解析および新規重症化マーカーの探索

長期的展望:

  • 新型コロナウイルス感染症重症化の早期診断法開発
  • 新型コロナウイルス感染症重症化メカニズムの解明
  • Myl9を標的とした新規治療法の開発

以下、追加資料

SARS-CoV-2の流行に伴う川崎病患者数の増加

10-years old male with prolonged fever, rash and conjunctivitis with concern for Kawasaki disease, found to have SARS-Cov2
(Chiu et al., Pediatric Cardiology,  2020) 

Incidence of Kawasaki disease in the past 5 years in Italy
(Verdoni et al., Lancet,  2020) 

SARS-CoV-2感染に伴う血管内血栓の形成および血栓症の合併

Thrombosis in the skin of COVID-19 patient
(Margo et al., Trans Res, 2020)

Arterial thrombus in dermis

C5b-9 deposition in endothelial cells

Pulmonary arterial thrombosis in COVID-19
(Lax et al., Ann Intern Med., 2020)

Incidence of thrombotic complication in the ICU patients with proven COVID-19 pneumonia
(Klok et al., Thrombosis Research, 2020)