2020.12.15

SNSと報道データに基づく人の行動モデルの提案と感染シミュレーション

研究開発担当

慶應義塾大学理工学部 栗原聡

対応するリサーチクエッション

「第二波対策」として必要な「感染予測・対策の効果検証」(SIRモデルの代替となるモデルの確立)、「必要な医療リソース(病床・医療物資等)の需要予測と最適配置」


研究開発領域 1: 感染防止シミュレーション(産総研からの移動シミュレーションとの連係)

マルチエージェントモデル等のシミュレーション :SNSによる分析

■TVでの報道とSNS(Twitter)から,人の行動変容を促すと思われるキーワードの出現分析(名詞,動詞に着目)を行い,人の移動行動モデルの推定を実施した。

①分析

②行動モデルの推定

人の行動変容を不安や危機感に基づく変容1と, 社会経済的行動欲求に基づく変容2に分けて考えてみる.

第1波では行動変容1が起きた(不安係数) → 未知で状況の詳細が不明なコロナウィルスへの漠然として危機感 → 1、2名の感染が大きな話題となり,緊急事態宣言は行動変容1を起こす契機となった(有名人の訃報も結果的に効果があった) → マスク着用や3密回避を促す効果を促した(感染対策係数の上昇).

第2波以降は主に行動変容2が起きている → 感染メカニズムや感染の詳細な状況等が判明すると危機意識はなくなり,もはや行動変容1は起きない → 行動変容2は社会経済的な行動欲求(行動係数)→ 仕事(最低限の経済活動)での移動は停止しないが,旅行などは自粛する度合いが高い → マスクや三密回避という行動を制約する度合いと自由に行動したいという欲求とのトレードオフ. 

③行動モデルのシミュレーション

今後の自粛を促す展開
  • 不安係数を再び上げる→COCOAのような個人に感染の危険性を直接的に伝えるシステムは有効(αの部分).マスメディアからの声かけは,かなり誇張したものとしないと効果発揮されない可能性が高い.ピンポイントより短期全体自粛と解除の繰り返し.
  • 感染対策係数を上げる→マスク・三密対策含め,まだ方法あるはず.
  • 行動係数を下げることは難しいかもしれない→GOTOキャンペーン などの仕組みの工夫が必要(βの部分).

人の行動モデルに基づく都市・地方での感染の推移シミュレーション

モデルケース

東京と大阪で感染が発生し,那覇と離島には感染者が存在しない状態からシミュレーションを開始する.
※那覇と離島は他地域からの感染者の移動による高リスク行動により感染が発生するというシナリオ.

頻度の少ない移動であっても高リスク行動を伴うことで,非感染地域の感染蔓延と医療への圧迫を招いてしまう.
高リスクな行動を伴う移動の頻度を下げることで医療対策脆弱地域での感染蔓延度を低くすることが期待できる.

対応策

感染対策係数を上げる → マスク・三密対策
α値を上げる → 自粛的政策
不安係数を上げる → COCOAの普及(インストール制度化等)

TODO:自粛政策の効果の予測

(1)[期間tで全体自粛,期間mで自粛解除] を繰り返す.
(2)一部のエリアのみ自粛を継続.