2020.08.24

室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策

研究開発担当

理化学研究所/神戸大学 坪倉 誠

対応するリサーチクエッション

「分野別ガイドラインの進化」のために必要な「室内気流シミュレーション」、「飛沫の見える化」


1. 気流シミュレーション マスクとフェースシールドの効果

■フェースシールドの飛沫飛散抑制効果(マスクの代替効果)をスーパーコンピュータ「富岳」を用いて計算。

  • 咳の場合,100ミクロン程度以上の飛沫については捕集効果は見込める.一方,20ミクロン以下の飛沫に対する捕集効果は小さい.
  • マスクの代替としてフェースシールドを飛沫飛散抑制に用いる場合は,漏れ出た小さな飛沫に対する対策(換気等)を併用する必要がある.
  • 今後,飲食時等,マスクを外す必要があるケースで,フェースシールド等での代替の可否や形状の最適化を検討する.

不織布マスク

フェースシールド

提供:理研・豊橋技科大・神戸大,協力:京工繊大,阪大

1. 気流シミュレーション 飲食店での飛沫等の拡散①

■飲食時の感染例が多いことから、飲食店での飛沫等の拡散の様子をスーパーコンピュータ「富岳」を用いて計算。

  • マスク無しで咳をした場合を想定.室内の湿度が飛沫拡散に与える影響を検討.
  • 湿度が高い場合,10ミクロン以上の飛沫は大半は机の上に落下し,正面の人に到達するのは数ミクロン以下の小さなエアロゾルのみ.一方,湿度が低い場合,飛沫は高速に蒸発することで微小化し,机に落下する数は大幅に減少する一方,空気中をエアロゾルとして拡散する数が増加する.
  • 今後,人と人との距離やエアコン空気の影響等,より飲食店の状況を考慮した検討を行う予定である.

湿度30%

湿度90%

提供:理研・豊橋技科大,協力:京工繊大・阪大

1. 気流シミュレーション 飲食店での飛沫等の拡散②

■飲食時の感染例が多いことから、飲食店での飛沫等の拡散の様子をスーパーコンピュータ「富岳」を用いて計算。

パーティション高は床からの高さ。口の高さは床から1.15m。机の高さは0.75m。

  • マスク無しで咳をしたときを想定
  • パーティション(1.2m以上)をすれば正面の人(1.9m先)にかかる飛沫・エアロゾルを1/10以下にすることができる.
  • 1.2mでは30秒程度で正面に到達するエアロゾルが確認されるが,1.4mとすることでほぼブロックすることができる.
  • 1.4mと1.6mとでは効果はあまり変わらない

パーティション無し

パーティション1.4m

パーティション1.2m

パーティション1.6m

提供:理研・豊橋技科大,協力:京工繊大・阪大

気流シミュレーション 通勤列車内での窓開けによるエアロゾル放出効果

■山手線を想定した通勤列車での換気によるエアロゾル排出の様子をスーパーコンピュータ「富岳」を用いて計算。

  • 仮想的に車内の空気が汚染された状態から換気を開始(赤から青くなるほど清浄).エアコンによる機械式換気のみの場合と窓開け換気を併用した場合を,160秒後で比較.窓を開けることで換気速度が数倍になる.
  • 今後,対象をタクシー,バス等のその他の公共交通機関に拡張して検討を行う予定である.

閑散時窓閉め

閑散時窓開け

混雑時窓閉め

混雑時窓開け

提供:理研,協力:豊橋技科大,鹿島建設