2020.11.27

室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策 #3

研究開発担当

理化学研究所/神戸大学 坪倉 誠

対応するリサーチクエッション

「分野別ガイドラインの進化」のために必要な「室内気流シミュレーション」、「飛沫の見える化」


飛沫シミュレーション(カラオケ)(途中経過) 1/2

■歌唱(カラオケ)時の飛沫・エアロゾル感染リスク評価とその対策。特にマスクやマウスガードによる飛沫飛散抑制効果について調査することで、適切な距離や姿勢について検討を行う。

マスク着用・換気あり
マスク着用・換気なし

提供:神戸大・理研,
協力:鹿島建設、ダイキン工業、豊橋技科大・京工繊大

マスクを着用している場合でも、室内換気を作動せずに狭い室内で歌を歌うと、エアロゾルが室内に拡散する。マスクを着用している場合でも換気を行うことが必要とされる。

飛沫シミュレーション(カラオケ)(途中経過) 2/2

対策なし
マウスガードの効果
マスクの効果
  • 感染者が歌唱している場合の歌唱開始約20秒の様子

提供:神戸大・理研,
協力:鹿島建設、ダイキン工業、豊橋技科大・京工繊大

室内換気を実施した場合、マスクの着用によりエアロゾルの拡散を抑えることができる。今後, 歌唱者の位置や換気の方法により、より効果的な飛沫飛散抑制方法を検討する予定。

飛沫シミュレーション(レストランと居酒屋)(途中経過:飛沫飛散における距離の影響)

■飲食店を想定した飛沫・エアロゾル感染リスク評価と対策。対面の相手と距離をとることにより、飛沫飛散を低減することができるかの検討を行う。

図.真正面の人に到達する飛沫の数

対面0.8m

対面1.2m

提供:理研・神戸大,協力:豊橋技科大・京工繊大・鹿島建設

飛沫の到達数は距離により大きく変化する。真正面の感染者が咳をした場合、1.2m離れていれば飛沫総数の約5%のみが到達するのに対し、0.8mでは約40%到達してしまう。十分な距離を保つことが重要。

飛沫シミュレーション(レストランと居酒屋)(途中経過:しゃべる方向と座る位置の影響)

■飲食店を想定した飛沫・エアロゾル感染リスク評価と対策。しゃべる方向と座る位置によって感染リスクが異なるかどうかを明らかにする。

感染者正面に座った人への到達飛沫の数
  • 正面以外に座った人にはほとんど到達しない
感染者はす向かいに座った人への到達飛沫の数
  • はす向かい以外に座った人にはほとんど到達しない
感染者のに座った人への到達飛沫の数
  • となりに座った人以外に座った人にはほとんど到達しない

提供:理研・神戸大,協力:豊橋技科大・京工繊大・鹿島建設

飛沫は直進性が強く、話しかけた人以外にはほとんど到達しない。感染者が隣に座る人に話しかけた場合が最も感染リスクが高い。はす向かいに座る人への飛沫到達数が最も少なく、正面に座る人の約1/4。

飛沫シミュレーション(レストランと居酒屋)(途中経過:マウスガードの効果)

■レストランや居酒屋等での会話時の飛沫・エアロゾル感染リスク評価とその対策。マウスガードやパーティションによる飛沫飛散抑制効果や室内換気によるエアロゾル感染リスク低減効果について検討を行う。

正面会話

マウスガード非着用時

マウスガード着用時

横会話

マウスガード非着用時

マウスガード着用時

提供:神戸大・理研,協力:豊橋技科大・京工繊大

マスクが着用できない飲食時には、代替としてマウスガードの着用が飛沫飛散の抑制には有効。ただし、エアロゾルに対する抑止効果はないので、必ず十分な換気対策を併用する必要がある。

飛沫シミュレーション(合唱)

教育現場を想定したものではありません。

■歌唱(合唱)時の飛沫・エアロゾル感染リスク評価とその対策。特にマスクやマウスガードによる飛沫飛散抑制効果について調査することで、適切な距離や姿勢について検討を行う。

対策なし

距離をとることの効果

  • 間隔があくことにより直接飛沫のリスクは低減できる

マウスガードの効果

  • マウスガードにより前方に飛ぶ飛沫が抑制
  • 体温による上昇飛沫によりエアロゾルが上に拡散

提供:神戸大・理研,協力:豊橋技科大・京工繊大

全員がマウスガードを装着することで飛沫の前方への流れを抑制することが可能。漏れ出たエアロゾルへの対策と併用することによりリスクを低減する必要がある。

飛沫シミュレーション(タクシー)(途中経過)

■タクシー内での飛沫・エアロゾル感染リスク評価とその対策。空調換気や窓開けによる換気性能の評価を行うと共に、パーティション等の仕切り板による飛沫飛散抑制効果について検討を行う。

提供:理研・神戸大,協力:豊橋技科大・京工繊大・トヨタ自動車

外気導入モードでのACオン時の車内換気の様子。1分程度でも車内の半分の換気が進んでおり、4人乗車時でもオフィス等と遜色のない換気性能が維持されている。ACについては外気モードでの運用を推奨の上、適宜窓開けをすることでさらにエアロゾル感染リスクを下げることができる。(今後、窓開け換気やパーティションの効果について検討を行う。)

飛沫シミュレーション(飛沫飛散における湿度の影響)

■冬場の乾燥に対するエアロゾル対策。加湿を行う事で飛沫拡散を低減できるか検討を行う。

図.1.8m前方の人に到達する飛沫の数
図.机に落ちる飛沫の数

湿度30%

湿度90%

提供:神戸大・理研,協力:豊橋技科大・京工繊大

乾燥状態では、机に落下する飛沫の量が減る一方、エアロゾル化して空中に浮遊する飛沫量が増加。特に湿度30%以下ではその効果が顕著となる。冬場は加湿器等による湿度コントロールと換気を強化する必要がある。