2021.02.01

室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策 #5

研究開発担当

理化学研究所/神戸大学 坪倉 誠

対応するリサーチクエッション

「分野別ガイドラインの進化」のために必要な「室内気流シミュレーション」、「飛沫の見える化」


2.富岳を用いた飛沫シミュレーション等(1)群衆

■マスクをしない場合,1.0m/sの軽風であっても飛沫が広範囲に拡散し,前後左右5,6列先まで飛沫が拡散してしまう恐れがある.

■マスクにより飛沫発生数が減少するため,感染者付近の人に飛散・付着する飛沫量も減少.室内外を問わずマスクの着用を推奨する.

条件
  • マスク無しの場合,感染者が大声で話している場合を想定(歌唱モデルで代用).
  • マスク有りの場合,別途実施した実験結果をもとに,飛沫発生量が約15分の1となるモデルを用いて計算.
  • 1分間で感染者周囲の人体モデルに付着した飛沫量をカウント.それぞれの発生飛沫個数(マスク無し:23,236個,マスク有り:1,527個)で%表示.
モデルの配置図

計算結果

提供:神戸大学・理研
協力:ヴァイナス,豊橋技科大,京工繊大

2.富岳を用いた飛沫シミュレーション等(2)通勤電車

■混雑時にはエアコンのみの換気では不十分となる.窓を開けると車内の換気効率が高まるため,窓を開けた状態での運行を推奨する.

■一回のドアの開閉により,約30~35%の車内空気が外気と置換される.頻繁に停車できない車両は窓を開けての走行を推奨.

窓開けによる換気効率の向上の検討
  • 混雑時を想定し乗客229人を車内に配置し,時速80km/hで走行した場合の換気量を計算

窓を開けなくてもエアコンにより6分間で車内の空気が置換されるが,混雑時の乗客229人に対して(1人当たりに必要な)外気量としては不十分.

停車時のドアの開閉による換気の効果
  • 停車時にドアが約30秒間開いた際の車内空気の置換量を計算

提供:神戸大学・理研
協力:鹿島建設,豊橋技術大学,国交省

2.富岳を用いた飛沫シミュレーション等(3)航空機

■機内を循環する空気はHEPAフィルターによりウイルス除去されるため,外気導入とあわせて3分程度で乗客室内の空気は浄化される.

■マスクの着用により発生する飛沫量が約1/3となるため,乗客室内に拡散する飛沫とその影響範囲を減らすことができる.マスク着用を推奨.

乗客室の換気効率

乗客室断面図(置換前空気:赤,置換後:青)

乗客室が咳をした場合の飛沫飛散範囲

リクライニング姿勢で咳をした場合

リクライニング姿勢・マスク着用で咳をした場合

提供:神戸大学・理研
協力:鹿島建設,豊橋技術大学,国交省