2020.12.04

感染の早期検知 スパイクタンパク質の立体構造の可視化

研究開発担当

理化学研究所 杉田有治

対応するリサーチクエッション

「早期検知と重症化回避」のための「CTスキャン画像分析」、軽症者等のモニタリング、重症化リスク予測、ウイルス変異の影響の理解 等


スパイクタンパク質の立体構造の可視化 1/2

  • 新型コロナウイルス 表面のスパイクタンパク質の立体構造は薬剤とワクチンの開発などに重要
  • クライオ電子顕微鏡ではスパイクタンパク質の表面に存在する糖鎖の可視化が困難
  • 分子動力学シミュレーションの結果を可視化することによって、糖鎖の動きと構造を明らかにし、さらに活性型への構造変化に果たす糖鎖の役割を解明する

 

不活性型(左)と活性型(右)のスパイクタンパク質の表面の糖鎖の動き【動画】

「富岳」を用いた分子動力学計算の結果を動画として可視化

→ この糖鎖の動きが抗体との結合・解離に重要

シミュレーションによって不活性型と活性型のスパイクタンパク質の表面の糖鎖とアミノ酸間のコンタクトや水素結合を推計し可視化したもの

これらはvan der Waals接触なので疎水性相互作用の指標となる。

提供:理研

スパイクタンパク質の立体構造の可視化 2/2

■不活性型から活性型に構造変化をさせた際の糖鎖の動き

→ N165, N234(それぞれ糖鎖が結合したアスパラギン、下図のオレンジ色・黄色のボールが糖鎖)などが構造変化に重要であることが可視化によって示された

※ タンパク質は20種類のアミノ酸が直列的に結合した物質(その並び順をアミノ酸配列と呼ぶ)。アミノ酸に糖鎖が結合し、タンパク質の性質に影響を及ぼす。アスパラギンはアミノ酸の一つ。

不活性型から活性型に構造変化をさせた際の糖鎖の動き

N165, N234などが構造変化に重要であることが可視化によって示された

Steered MDによって不活性型(RMSD=7A)から活性型(RMSD=0)へと強制的に構造変化させた場合の糖鎖(赤字)とアミノ酸の距離の変化

黄色吹き出しのような分子内相互作用を薬剤・ワクチン等で阻害できれば感染に至らない

提供:理研