2020.12.25

エージェントシミュレーションによる新型コロナ感染伝搬の抑制策

研究開発担当

理化学研究所 伊藤伸泰

対応するリサーチクエッション

「第二波対策」として必要な「感染予測・対策の効果検証」(SIRモデルの代替となるモデルの確立)、「必要な医療リソース(病床・医療物資等)の需要予測と最適配置」


  • 提言:濃厚接触による感染が疑われる場所では接触追跡アプリケーションCOCOAの使用を強制することを政策に含めるべし。
  • 根拠:感染クラスターのエージェントシミュレーションでは、接触追跡アプリケーションが実効再生産数を低減させる効果があるとする結果が得られている。また陽性者との接触を「見える化」することにより、ポストコロナの生活様式を各自が自分自身の問題として考え実践するよりどころとしての効果も期待できる。
  • 現状分析:GOTOトラベル・GOTOイートによる景気下支え策は、各自の感染予防策が十分であれば感染拡大にはつながらない。しかし感染リスクが実感しにくいことや感染予防策が充分であるかどうかの自覚に乏しいことから、感染を拡大してしまっている可能性がある。一方、接触追跡アプリケーションが感染抑制に効果があると期待できる研究結果が得られており、またその使用者とまわりの人々を感染から守るという個人的な便益が期待できるにもかかわらず、普及率が伸び悩んでいる。接触追跡アプリケーションの効果は普及率の2乗に比例するため、濃厚接触が疑われる場での普及率を100%近くに高めるインセンティブが必要である。
  • 政策例:
    • GOTOトラベル・GOTOイートによる割引や飲食店への入店、劇場・映画館・コンサート・スポーツ観戦など人の集まるイベントの参加には常時COCOAを使うことを条件とする。
    • 交通機関を使う際には常時COCOAを使うことを条件とする。
    • 常時COCOAを使っているスマートフォンに対して、通信料金を割り引く。

接触追跡アプリケーションによる感染クラスター発生時の感染低減(エージェントシミュレーションの結果)