2020.11.27

マルチエージェントモデル等のシミュレーション 行動自粛の方策の検討 #2

研究開発担当

東京大学大学院工学系研究科 大澤幸生

対応するリサーチクエッション

「第二波対策」として必要な「感染予測・対策の効果検証」(SIRモデルの代替となるモデルの確立)、「必要な医療リソース(病床・医療物資等)の需要予測と最適配置」


行動自粛の方策の検討

■スケールフリーネットワーク(SFN)を都市における時空間制約下に近づけた感染拡大モデル

(9月までの結果:本事業前の段階)
全てのノード(人)に等しいW, m0の制約:W-m0がm0を超えると感染爆発
PLOS ONEに以下URLで12/3発刊
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0242766

(現状の結果:詳細について未発表)
各ノードにWの上限制約と、二次元距離の近い人に会いやすい制約を追加しても、傾向は同様 →各地点の人口データを連結できる

(現状の結果:詳細については未発表)
感染者数が減少した際、人々の自粛志向が弱まる(隣人に会う確率をそれぞれ5%増)という設定をいれた結果→収束せずに新規感染者発生が持続(現在の発生状況に近く今後の予測が困難。)

提供:東京大学

(本事業のアウトプット)感染爆発の予防は、
① Stay with Community 会う人を学校や職場などのコミュニティ内に限定すれば、行動自粛しなくても顕著な感染拡大はしない。ただし、通常生活の中でコミュニティ外の人と接触機会が多い個人(Wが大きい人)が相当いると感染爆発を起こす可能性があるという結果。今後、大規模なシミュレーションにより自粛の効果検証予定。② 早い段階で個々人が行動自粛をやめてコミュニティ外との接触を増やすと、収束せずに感染者が継続して発生。

長距離移動のリスク(東大・大澤)

■モデル2による感染拡大モデル:長距離移動を確率的に導入

手法合成人口データ[関西大・村田忠彦; 東京都区部・横浜市の100人に1人ランダム抽出]を用い、遠い(経緯度で0.25度=約27km相当以上の距離:東京圏と横浜圏の移動程度)距離の移動を確率pdistで重み1とし大澤坪倉モデルでシミュレーション

pdistの意味各人が1/pdist人の接触相手を選ぶときに長距離離れた人を最優先して接触するネットワークを構成。実データを集約した7万人に対し1/pdist=1000,000なら各人が14.3週に一度1人の長遠方の人に接する。

※一週間程度の「旅行」でも旅行中は終日遠方者と接するので「通勤」と同様と考えられる

提供:東京大学

(本事業のアウトプット)感染爆発に対する長距離移動の影響は:
① 低頻度(14.3週に一度1人の長遠方の人に接する程度)の大都市間移動でも十分高リスク② 各人が常に長距離移動をする(毎週求めて会う人全員が遠方の人となる)ほどになると長距離移動はコミュニティ間ブリッジの役割を終えるので緩和されるが、 pdist =0のレベルに戻るわけではない③ 遠方からの訪問があっても地域内がW<2m0を維持すれば拡大は抑制できるが、内部で長距離移動があれば要注意

ネットワーク変化とリンクの多様な強さに連続性を持たせる拡張

■ネットワークの連続的変化と感染拡大モデル

Infection rate a=0.4,N=2000,m0=10,
接触頻度A (a1: 親友, a2: 友達1, a3: 友達2, a4: 知り合い, a5: 偶然会う人, a6:家族)=[0.9,0.01,0.01,0.01,0,1.00]

自粛後、緩和。後に再自粛
平均感染継続週=16.2週
感染者数平均=393.8人(2000人中)
自粛後、急激に緩和する場合
平均感染継続週=20.1週
感染者数平均=499.2人(2000人中)

W (接触相手数の上限)を与えずに検証)

提供:東京大学

(本事業のアウトプット)ネットワークの構造変化とリンクの多様な強さに連続性を持たせても、これまでの結果は成り立つ:
① ただ近隣者への接触頻度を増やすだけでは、感染拡大になることは少ない② ネットワークの構造が変わるような接触増加では、大きな第二波以降に発展する可能性がある