研究開発担当
筑波大学 倉橋節也
対応するリサーチクエッション
「第二波対策」として必要な「感染予測・対策の効果検証」(SIRモデルの代替となるモデルの確立)、「必要な医療リソース(病床・医療物資等)の需要予測と最適配置」
外出・会食の影響評価
外出・会食人数の影響評価
- いつもの2人に限定した外出で感染拡大リスクは半減
- いつもの4人になった場合は、正面での会話・会食を避けることでリスクは半減*
首都圏近郊の1348人の町を想定
若年者 220人・成年者 768人・高齢者 360人
世帯構成:単身・夫婦・夫婦子供・母子/父子
ある日この町で、1名の感染者が発生した。住民は週2日、自分の n人の友達からランダムに選んだm人と外出し会食する。ただし、すべてのイベントは中止、職場学校の接触は通常の1/5に制限されている。
結果
20人の友達から8名と外出・会食に対して、感染拡大数は、
20人の友達から4名と外出・会食で18%減少
20人の友達から2名と外出・会食で42%減少
いつもの4名と外出・会食で28%減少
いつもの2名と外出・会食で55%減少
いつもの4名と外出・会食斜め席で53%減少
いつもの2名と外出・会食斜め席で60%減少
*ただしこのモデルでは、外出・会食以外の場での感染は、感染予防策をとった職場・学校・家庭に限定されているとしており、減少率は見かけ上大きくなっていることに注意。
緊急事態宣言後の感染者予測
緊急事態宣言解除後の感染者予測
東京都の感染者推移(黒)をモデル化し緊急事態宣言解除(3/7)後の感染者を予測
昨年6月以降と同等の感染増加があったとすると5月に第4波(最大2000人)が来る(赤線)
宣言解除を3/21に延期しても、現状の人出が続けば、第4波は2週間延びるだけ(ピンク)
2月前半の人出に戻れば感染ピーク減少が可能(紫線)
加えて「外出はいつもの4人だけ、食事は斜め席と遮蔽板」を遵守すれば、感染ピーク半減が可能(水色線)
ワクチン接種効果予測
ワクチン接種感染者予測(全員接種)
東京都の感染者推移(黒)を年代別(60歳以上と59歳以下)でモデル化し、3/7後に2020年6月以降と同等の感染増加があったとして、全員にワクチン接種を実施する効果を予測
ワクチン接種がされない場合は、第4波が来る(青破線:59歳以下、紫破線:60歳以上の感染者数)
ワクチン接種を年齢に関係なく実施した場合は、ある程度ピークを減らせる(青緑破線:59歳以下、茶破線:60歳以上の感染者数)
年代別ワクチン接種効果予測
ワクチン接種感染者予測(年代別接種,合計表示)
東京都の感染者推移(黒)を年代別(60歳以上と59歳以下)でモデル化し、3/7後に2020年6月以降と同等の感染増加があったとして、年代別にワクチン接種を実施する効果を予測
ワクチンを接種しない場合(赤線)
60歳以上優先でワクチン接種をした場合(紫破線)
59歳以下優先でワクチン接種をした場合(紫破線)
年齢に関係なくワクチン接種した場合(緑破線)
59歳以下の感染を抑えることは、合計の感染者数の減少につながる。
ワクチン接種感染者予測(年代別接種,年代別表示)
全ページと同様で、年代別の感染者数を表示
60歳以上優先でワクチン接種をした場合は、59歳以下の感染者はほとんど減少しない(紫破線)
59歳以下優先でワクチン接種をした場合は、60歳以上の感染者もある程度減少する(紫破線)
年齢に関係なくワクチン接種した場合は、どちらも減少する(緑破線)
若年・成年者(59歳以下)から60歳以上への感染割合は、全体の30%程度と推定できる(モデル推定結果)。感染者数が多く接触数も高い若年・成年者の感染を抑えることで、高齢者への拡大もある程度防ぐことができると思われる。ただし高齢者重症化率が高いことの考慮は必要。