1.シミュレーションの対象と期間
東京都および大阪府:新規陽性者数。
期間:2022 年3 ⽉末まで
3.流行するウィルス:デルタ株のみ
現状での我が国における「(過去の)人流に対する実効再生産数」を学習しているため、個別の基本再生産数の設定は不要
4.ワクチンの効果と接種率
効果:上位ケース、中位ケース、下位ケースとした場合に、ワクチンの有効性を海外都市および我が国のデータに基づき補正し、利用。
接種率:現在の内閣官房資料に基づくものを基本とし、それ以外の場合にも拡張(但し、年齢構成については考慮していない)
5.気象条件
昨年の気象条件を仮定
重症者数、死亡者数の変化については、9/14を参照
接種率を変化させた場合の予測値の変化(9月末に緊急事態宣言を解除)
下位:2回目の接種率=11月中旬72%、12月末75%(現在の接種上昇率と同等と仮定)
中位:2回目の接種率=11月中旬76%、12月末80%
上位:2回目の接種率=11月中旬79%、12月末85%
ワクチン効果の学習に海外データのみ
2回目接種の加速等により、人口レベルでのワクチン有効率を高いまま(40%程度)保てた場合、新規陽性者数の増加が抑えられる見込み
計算モデルは、9月17日までのデータに基づき作成(それ以外の図は9月10日まで).
接種率を変化させた場合の予測値の変化(9月末に緊急事態宣言を解除)
下位:2回目の接種率=11月中旬72%、12月末75%(現在の接種上昇率と同等と仮定)
中位:2回目の接種率=11月中旬76%、12月末80%
上位:2回目の接種率=11月中旬79%、12月末85%
ワクチン効果の学習に我が国のものも含めて反復させた場合
2回目接種の加速等により、人口レベルでのワクチン有効率を高いまま(40%程度)保てた場合、新規陽性者数の増加が抑えられる見込み
計算モデルは、9月17日までのデータに基づき作成(それ以外の図は9月10日まで).
ワクチン・パスポートなどの導入効果
・シンガポールにおける8月10日からの各種規制緩和事例から、どの程度の影響が見込めるかの試算
シンガポールでは、ワクチン接種者に限って、集会の人数上限を2人から5人へと引き上げる。また、飲食や美容といったパーソナルケアなど、マスクなしでは感染リスクの高い活動を最大5人まで行うことを認める。未接種者については、事前に検査を行えば5人までの活動に参加できる。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/cc6537d98aeae375.html
ワクチンパス導入の前後で、人流は増加傾向。一方、実効再生産数と人流の関係は、導入前と同等かやや減少。ワクチン接種率が15-20%程度上昇してため単純比較はできないものの、ワクチンパス導入後の感染拡大の要因は、人流増加の可能性。
実効再生産数との関係を見ると-30%以下に人流増減率を落とす必要があると見られる(実効再生産数:1)
※人流は、当該の日からみて6-13日前の平均値
東京の状況(9/17現在)
※左記の実効再生産数と人流の関係をふまえ、いかに実効再生産数1以下をとる人流でキープするかが必要となる。
※人流は、当該の日からみて6-13日前の平均値
大阪の状況(9/17現在)
※左記の実効再生産数と人流の関係をふまえ、いかに実効再生産数1以下をとる人流でキープするが必要となる。
※人流は、当該の日からみて6-13日前の平均値
分析結果のまとめ
1.第5波のピークは、特に、7月の連休(東京)およびお盆(東京、大阪)の行動のよるもの。その1週間程度後に、実効再生産数が上昇(8/24、8/31資料)。
2.ピーク後の陽性者数の減少は、ワクチンによる影響が大きい。イスラエルの事例解析より、現在の我が国の接種率では、ワクチン実効再生産数が約半分と推定( 8/24資料) 。
3.デルタ株に対する我が国における実効再生産数は、海外よりも小さい。行動の大きな変化がなければ今後1を大幅に超えることは生じない推定結果。
4.東京、大阪においても10月中旬以降、新規陽性者数、重症者数がほぼ横ばい推移。1月上旬(正月後)、3月(卒業シーズン)にピークが見られる可能性。
5.ワクチン接種(3回目)については、効果の減少が見られるのであれば、年内に開始すると効果が高い可能性。但し、ワクチンの効果が十分モデル化できていない可能性。本アプローチは海外の結果を外挿しており、またそれが可能であるため、随時更新が望ましい。
6.ロンドンの分析から、ワクチンパスポート導入に一定の有効性(人流に対する実効再生産数が3割程度減)。シンガポールにおける分析からは、ワクチンパスポート導入後に飲食などを許容しても、人流ー実効再生産数の関係にはほとんど影響を与えていない(差異はワクチン接種率の可能性)ことが示唆。海外の分析から、ワクチンパスポートを導入、さらに一定の人流(ワクチンの有効性依存)に抑える必要性。
7.東京、大阪において実効再生産数1となる主要駅における人流閾値は、現在で-35%~-40%程度であったのが、11月上旬には-10%(東京)、-20% (大阪)程度になる可能性。
付録:推定結果の相違について
・実効再生産数で換算すると、0.05程度の可能性(3か月で2倍程度)
・P15,16より、人流に対する実効再生産数もばらつきがあり、増減率を決定づけるパラメータの選択方法の可能性
・名古屋工業大学グループのパラメータは、ワクチンに関するパラメータは海外のデータから外挿しているため、一部設定できない。
*ワクチンパスポートの実効再生産数に与える影響は、0.3程度あるいは30%程度(ロンドン)。