モデル(B)マルチレイヤーの考え方
想定したレイヤーの特徴
・世帯: 世帯内で全結合し、他世帯とは完全に分離されたネットワーク
・職業: 同一職業の人々がW-m0関係を遵守しつながったネットワーク
・学校: 同一地域・同一学年の子供たちがW-m0関係を遵守しつつ
つながったネットワーク
・ご近所: 距離の近いエージェント同士がW-m0関係を遵守しつつ
つながったネットワーク
・ランダム: 特段のルールなくランダムにn人とつながるようルール化し
つながったネットワーク
レイヤーを分ける理由
・人と人のつながり方のコンテクストによって、ネットワークの疎・密結合の関係性および接触の濃度・頻度が異なる
・コンテクストごとに取り付け・取り外しが可能で、また間引き・増幅することで、緊急事態宣言実施や景気浮揚政策の検討を行う材料として活用しやすい
・こういった事象をモデリングする上で、マルチレイヤー形状は非常に便利
モデル(B)マルチレイヤーマルチSEIRエージェント:設定
・データ: 関西大学村田教授の人工合成データ
・感染伝搬モデル:
✔️マルチエージェントベースのワクチン効果考慮後のSEIRSモデルを採用
✔️Iの状態を軽症と重症、さらに重症から死亡への推移を考慮
✔️各々のレイヤーをそれぞれ半分に間引いたケースで計算を実施
✔️オミクロン株の平均潜伏期間を踏まえ1タイムスタンプ3.5日に変更
・ワクチン: 接種によりS/V1/V2/V3のノードのEへの遷移確率を▲X%低下。ワクチン効果は段階的に減衰
モデルBの結果:新規感染者数
2019年相当の接触となれば、2月中旬には週間100万人~150万人近い感染者となりそこでピークアウトするようなシナリオが想定される。まん延防止等で2020年10月アンケート時点相当の接触に戻れば、低位安定も期待される。
モデルBの結果:重症感染者数(重症化リスク大(オミクロン=デルタ)シナリオ)
オミクロン株の重症化率がデルタ株並みの場合、2019年相当の接触では、2月末に2万人近い重症者となる恐れがある。まん延防止策により2020年10月相当に抑えられれば、低位に抑えられる見込み。
モデルBの結果:重症感染者数(重症化リスク小(オミクロン=デルタの10分の1)シナリオ)
オミクロン株の重症化率がデルタ株の10分の1程度と仮定すると、2019年並みの接触に戻った場合でも、V/T等の施策を打つことで深刻な重症者とはならない見込み。
Appendix: MLNの各レイヤーの生成ロジック
・世帯
・職業
・学校
・距離
・ランダム
※データのサンプリングは、指定した世帯数をランダムサンプリングするので世帯数の指定は出来るがノード数の指定は出来ない
世帯
・概要
・世帯ごとにクリークを形成するレイヤー
・パラメータ
・なし
・生成ロジック
・同一のhousehold_idを全結合
職業
・概要
・industry_Wとindustry_m_0に基づき制約付きネットワークを形成するレイヤー
・パラメータ
・industry_W: 他人と繋がる上限数 (industry_W - industry_m_0だけ他人の手を受け入れる)
・industry_m_0: 自ら伸ばす手の本数
・生成ロジック (擬似コード)
学校
・概要
・児童がschool_Wとschool_m_0に基づき制約付きネットワークを形成するレイヤー
・パラメータ
・school_W: 他人と繋がる上限数 (school_W - school_m_0だけ他人の手を受け入れる)
・school_m_0: 自ら伸ばす手の本数
・生成ロジック (擬似コード)
距離
・概要
・distance_Wとdistance_m_0に基づき距離から制約付きネットワークを形成するレイヤー
・パラメータ
・distance_W: 他人と繋がる上限数 (distance_W - distance_m_0だけ他人の手を受け入れる)
・distance_m_0: 自ら伸ばす手の本数
・生成ロジック (擬似コード)
ランダム
・概要
・ランダムグラフから成るレイヤー
・パラメータ
・p: エッジを選択する確率
・生成ロジック
・n(n - 1) / 2 通りのエッジから確率 p で採用するエッジを決定しグラフを生成