背景
■オミクロン株による感染の急拡大が全国に波及し、新規陽性患者数だけでなく,死亡者数も最大数を更新。
■東京などに適用されたまん延防止等重点措置が3月6日まで延長された。
■一部の検査キットの不足や処理の遅れが各所で発生し、医師の診察によるみなし陽性が出始めた。
■無症状の濃厚接触者の隔離期間が短縮された。
■東京等では2月10日頃から週平均の陽性患者数は減少に転じた。
■一方、検査や病床の逼迫は続いており、陽性率も上昇の傾向にある。
■3回目のワクチン接種が全国で1日100万件実施へ加速。
■捕捉されない感染者を前提としたシナリオを考える必要がある。
シミュレーション
■2次元空間上を移動するマルチエージェントモデル。エージェント数 100万人。
■人と人を繋ぐ感染ネットワークのスモールワールド性の程度を調整できるよう集会場所の設定を拡張。
■1月24日までの128とおりのシミュレーションの中から、東京都の陽性患者数推移に近い方から8試行をとりだし、それらの続きとして各16とおり、合計で128とおりの試行を実施。
■さらに 1月30日までのシミュレーションの中から、同様に8試行をとりだし、同様に合計128とおりの試行を実施。
■ワクチンの3回目接種を2月1日から1日あたり人口の 0.71% と仮定。
■行動制限が 3月6日で解除され、昨年11月程度に戻るものと仮定。
■1日当りの検査数の上限が人口の 0.10~0.22% の範囲で、0.02% 刻みの計7とおりについて実施。
■それぞれについて128回試行し、それらの平均値と標準偏差を見る。
■陽性患者数、隔離患者数、実感染者数、重症患者数の推移を見る。
シミュレーション結果#1-1(陽性患者数の推移)
■1日あたり検査数の上限が人口の 0.10〜0.22% の場合。7月4日以降の推移。
■検査の逼迫により、一旦は陽性患者数は減少するが、検査数により、上昇または逓減。
シミュレーション結果#1-2(陽性患者数の推移)
■1日あたり検査数の上限が人口の 0.10〜0.22% の場合。 12月1日以降の推移。
■0.12% 以下では逓減。0.14%以上では一旦上昇。
シミュレーション結果#2(隔離患者数の推移)
■各時点での把握されている患者数の合計(陽性判明後、未回復の患者数)。検査数に左右される。
■実績数との乖離について、隔離期間の短縮等をモデル化する必要があろう。
シミュレーション結果#3(実感染者数の推移)
■各時点での、症状の有無および検査にかかわらない実際の感染者の数。
■ピークの時期は検査能力にかかわらず3月5日頃。14.51±0.25 % 約203万人。
シミュレーション結果#4(重症患者数の推移)
■行動制限期間を24日、毒性をデルタ株の 8, 12, 16% と仮定。
■毒性が 12% の場合、ピークは3月8日頃 1.08±0.03 %。 約14万人
■入院等、治療のための医療資源が逼迫する恐れ。