背景
■感染拡大に伴う学級閉鎖・休校の増加
■保育園の休園を対象とした分析: 『保育園の休園数の分析』(千葉・岡本)
■本資料では、小学校・中学校・高校の休校と学級閉鎖と休校の動向を分析
重要ポイント
■自治体のデータから、ワクチン接種と休校・学級閉鎖の関係を分析
■2022年1月末時点で、10歳未満のみ、ワクチン接種がほぼ進んでいない
■10歳未満のワクチン接種率は全ての都道府県で0.0%
■10歳以上では、2回目接種率は全国で61.2%(都道府県別では51.8%~67.9%)
■DID推計の結果、10歳未満でほぼ完全にワクチン未接種であることが、小学校の休校数の急増(中学・高校対比)をもたらした可能性が示唆される
■小学生のワクチン接種を中高生と同レベルに進めていた場合、第六波において、休校・学級閉鎖数を約4割減らすことができた可能性
■休校日数の推移の分析
■2/2、文部科学省によるガイドラインでは、休校日数の目安は短縮化
■実際は、休校日数が伸びた自治体もある(保育園の休園と同様)
休校・学級閉鎖数の増加率(常用対数)推移【大阪市】
■ワクチン接種開始前は、小学校 vs 中・高等学校で休校数・学級閉鎖数の増加率は等しい(平行トレンド仮定)
ワクチン一般接種開始後の休校・学級閉鎖数比較【大阪市】
■ワクチン接種前→ワクチン接種開始~過渡期→各世代にワクチンが行き渡った後、第六波という三期間を経て、休校・学級閉鎖数の差が拡大していく。
DID(差分の差分法)推計によるワクチン接種の効果【大阪市】
2021/12~の休校数(対数)の差から、ワクチン接種開始前の差分を差し引いたものが
すべてワクチン接種率の差異を要因とする、と考える( 共通ショック仮定)
差は約0.228 → 100.228倍( = 約1.69倍)
ワクチン接種効果 ⇨ 1 - 1 ÷ 1.69 = 0.41 = 約40%
(参考:大阪府の10代2回目接種率 = 52.7%【2月8日時点】)
第六波において、小学生のワクチン接種を中高生と同レベルに進めていた場合、休校・学級閉鎖数を約4割減らすことができた可能性
DID(差分の差分法)推計によるワクチン接種の効果【大阪市】
■あくまで、次の二つの仮定が成り立つことを前提にした数字であることに注意
1.平行トレンド仮定:もしワクチン接種をしていなければ、両者の増加率(≒常用対数の差分)は等しく推移する。例)小学校の休校数は夏よりも冬の方が2倍であるとき、(ワクチン接種をしなければ)中学校の休校数も2倍になるはずである。
2.共通ショック仮定:ワクチン接種以外に両者の差を作り出す因子は存在しない。例)第六波において、中学校のみ休校の基準を引き上げた場合、この仮定は成り立たない。
休校・学級閉鎖数の増加率(常用対数)推移【福岡市】
福岡市においては、ワクチン接種開始前の平行トレンド仮定が成り立たないことに注意。
ワクチン一般接種開始後の休校・学級閉鎖数比較【福岡市】
福岡市においても(接種開始後は)大阪市と同様に、休校・学級閉鎖数の差が徐々に拡大する。
自治体別学級閉鎖日数の推移(2/2前後での区分)
2/2以降の学級閉鎖の日数が増加した自治体もある
陽性者隔離の期間を短縮化を目指しても、実際には検査の遅延やリソース確保などの都合上、短縮化できない事例がある可能性(保育園と同様)
自治体別ワクチン接種率
※ 両自治体とも、10歳未満の接種率は 0.00% である。
各期間の休校+学級閉鎖数
※ 休校と学級閉鎖(学年閉鎖を含む)を合算した数字である。
※ 学校区分「不明」については除外した。
※ 大阪市は2022年2月16日時点、福岡市は2022年1月21日時点の数字である。