家庭内感染モデル概要
1. 外出から帰宅後の行動に伴うウイルス接触伝播の可視化
外出時に手に付着したウイルスが、帰宅者の行動によって自宅のさまざまなアイテムに伝播していく状態を再現するエー
ジェントベースモデルを構築し、接触感染リスクおよび手洗い行動などの効果を可視化。
自宅療養中の家族がいた場合、複数人同時の感染リスク評価の拡張が可能(今回は実験対象外)。
2. 使用データ
筑波大学・ライオン株式会社が調査した約1,100件の帰宅後行動調査から、場所、行動、接触物のデータを
抽出し、動線確率、行動遷移確率、接触順番確率、行動回数分布、接触回数分布、停止条件などを作成。
ウイルス実験室での実験により、モデル皮膚と各素材間のウイルス伝播率を測定した素材伝播率表を作成。
3. 家庭内接触感染リスク可視化エージェントベースモデル
代表的な間取りを設定し、作成した確率表に基づいて行動するエージェントが、家庭内接触行動を
繰り返し実施し、付着したウイルス量から本人や同居者がウイルスに再接触するリスクを推定する。
実験概要
1. 帰宅後の移動行動による室内滞在時間の推定
・一般生活者の帰宅時の移動行動による、各室内の滞在時間を推定
2. 自宅療養者の移動行動による室内滞在時間の推定
・感染して自宅療養している家族の移動行動による、各室内の滞在時間を推定
3. 帰宅者と自宅療養者の濃厚接触時間を推定
・帰宅者の感染リスクの推定
まとめ
帰宅者および自宅療養者の濃厚接触時間を推定した。
1. 帰宅者の家庭内移動行動による室内滞在時間の推定
・リビング・ダイニングでの滞在時間が長くなる傾向
2. 自宅療養者の家庭内移動行動による室内滞在時間の推定
・リビング・ダイニングでの滞在時間が長くなる傾向
3. 帰宅者と自宅療養者の濃厚接触時間を推定
・リビング・ダイニングでの濃厚接触時間が際立って長くなる傾向
・帰宅後180分間一緒に行動すると、帰宅者の感染確率は0.44
・帰宅後120分間一緒に行動すると、帰宅者の感染確率は0.33
・帰宅後60分間一緒に行動すると、帰宅者の感染確率は0.11
・帰宅後30分間一緒に行動すると、帰宅者の感染確率は0.018