サマリー
ブースター接種を2回目接種後6か月とした場合の効果は顕著
・ワクチン2回目接種後の感染予防効果が6か月で減退する場合、ブースター接種を8か月後から6か月後に短縮することは、感染拡大を大幅に抑制する
ブースター接種が8か月後の場合、ワクチンパスポートは、ブースター未接種者の外出を平時比▲50%とすれば、感染拡大を防げる
・対デルタ株では、「2回目未接種者のみが外出を平時比▲50%」にすれば、接種完了した人は平時通りの行動をしても感染は拡大しない
・対オミクロン株では、上記対策は感染拡大を許してしまう
・「ブースター未接種者のみが外出を平時比▲50%」として、ワクチンパスポートをブースター接種完了者とすることで、大幅な感染拡大を防げる
エージェント・ベース・モデル
・『ワクチン普及後の行動制限解除』(COVID-19 AI & Simulation Projectとして8/24公開)を基本とする、都内を対象としたモデル
・個人の属性:年齢・性別・産業・職業・外食頻度
・個人の感染・重症化確率は、年代(10歳刻み)と基礎疾患の有無によって決定
・対人接触する場面:家庭、学校、職場、高齢者施設、飲食店、その他不特定多数の接触
・Chiba, Asako. 2021. "The effectiveness of mobility control, shortening of restaurants' opening hours, and working from home on control of COVID-19 spread in Japan" Health & Place 70: 102622.
・Chiba, Asako. 2021. "Modeling the effects of contact-tracing apps on the spread of the coronavirus disease: Mechanisms, conditions, and efficiency" PLoS ONE 16(9): e0256151.
・参考 Kerr et al. (2020)
ワクチンの感染予防/重症化予防効果
(シナリオ1)
・対オミクロン株の効果は、対δ株より大幅に弱い(30%)
・ただしブースター接種後、対δ株に匹敵する80%まで回復
(シナリオ2)
・対オミクロン株の効果は、対δ株の効果の8割
・ブースター接種後、2回目接種後と同じ効果を回復
ワクチンの効果:シナリオ1
(1)ブースター接種のタイミング:「6か月後」と「8か月後」の差は顕著
・人出が平時比▲30%として、接種時期とワクチンの効果を変えて比較
・ベースライン:ブースター接種は8か月後
ワクチンの効果:シナリオ1
(2)ワクチンパスポート「ブースター未接種者への外出制限」
・ブースター接種が2回目接種後8か月となることを想定
・「ブースター未接種者のみ外出▲50%」とすれば感染拡大を防げる
ワクチンの効果:シナリオ1
(3)ワクチンパスポート「2度目未接種者への外出制限」
・ブースター接種が2回目接種後8か月となることを想定
・「2度目未接種者のみ外出▲50%」としても、感染増加を抑えきれない
ワクチンの効果:シナリオ2
ワクチン2回接種の対オミクロン株効果が高い場合も、定性的結果は変わらない
(1)ブースター接種のタイミング
・「ブースター接種の2か月のラグ」がもたらす感染拡大は、 「オミクロン株の高い感染力」、「ワクチンの感染予防効果の差」のそれを上回る
ワクチンの効果:シナリオ2
(2)ワクチンパスポート「ブースター未接種者への外出制限」
・ブースター接種が2回目接種後8か月となることを想定
・「ブースター未接種者のみ外出▲50%」とすれば感染拡大を防げる
ワクチンの効果:シナリオ2
(3)ワクチンパスポート「2度目未接種者への外出制限」
・ブースター接種が2回目接種後8か月となることを想定
・「2度目未接種者のみ外出▲50%」としても、感染増加を抑えきれない
サマリー
ブースター接種のタイミングは、2回目接種後6か月とすべき
・ワクチン2回目接種後の感染予防効果が6か月で減退する場合、ブースター接種を8か月後から6か月後に短縮することは、感染拡大を大幅に抑制する
ブースター接種が8か月後の場合、ワクチンパスポートは、ブースター未接種者の外出を平時比▲50%とすれば、感染拡大を防げる
・対デルタ株では、「2回目未接種者のみが外出を平時比▲50%」にすれば、接種完了した人は平時通りの行動をしても感染は拡大しない
・対オミクロン株では、上記対策は感染拡大を許してしまう
・「ブースター未接種者のみが外出を平時比▲50%」として、ワクチンパスポートをブースター接種完了者とすることで、大幅な感染拡大を防げる